主人公がいい。

人間は会話で出来ている。

咄嗟にレモンをかじったときのような口元になった。

 

 

 

 

「お昼ご飯はどこで食べてるの?」

「最近はもっぱら、安さ重視ですね。」

「安さ重視?」

「会社の南側にあるホルモン屋とか

公園を右に曲がったところにあるアフリカ料理とかですね。」

「先輩はどこで食べるんですか?」

 

爽やかな顔面を有した彼は質問にすぐには答えずパソコンの画面をじっと見つめる。

 

「あんまり外食はしないかな。」

「そうなんですか?もう飽きたんですか?」

「いいや。だってここらへん美味しい食べ物なくない?」

「確かに、首都圏いち騒がしいといっても過言ではない街が食に関しては能力不足ですよね。」

 

週5で外食をしている奴が放った言葉としては到底思えない言い様。

 

「うちの課の人たちはどうして昼に外にでないんですかね?」

後ろめたさを拭うように別の話題をふる。

 

「いや?わりと外に出てる人も多いよ。」

「そうなんですか?」

「君はいつも昼休みいっぱいに時間を使ってるから知らないだろうけどね」

 

何か悪いことをしただろうか

と自分の胸に問いながら、咄嗟にレモンをかじったときのような口元になった。